人手不足を放置する危険性|運送業が直面する現実と見逃せない経営リスク

ここ数年、運送業界では慢性的な「人手不足」が深刻化しています。
特に2024年の働き方改革関連法による時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」を境に、ドライバーの稼働時間が減少し、輸送能力そのものが縮小しています。
国土交通省の試算によると、対策を講じなければ2030年には全国で34%の輸送力が不足するといわれています。
それでもなお、「うちはなんとか回っているから」と人手不足を放置してしまう企業は少なくありません。
しかし、その“放置”こそが、数年後に大きな経営リスクとなるのです。
本記事では、運送業を営む企業が人手不足を放置した場合に起こりうる問題を、実務・経営の両面から解説します。
1.ドライバーの疲弊と離職ドミノ
人手不足の最初のツケを払うのは、現場のドライバーです。
配送量は増える一方で、1人あたりの担当エリアや件数は拡大。結果として、長時間労働や休息不足が常態化し、疲労やストレスが蓄積していきます。
特に中小の運送会社では、代替要員を確保できず、ベテランドライバーが休めないケースも多く見られます。
このような状況が続けば、離職者が増え、残った人にさらに負担がのしかかる「負の連鎖」が起こります。
こうした離職ドミノは、組織全体のモチベーション低下を招くだけでなく、新たな採用コストの増大にもつながります。
「人手が足りない」状態を放置するほど、経営効率は悪化していくのです。
2.サービス品質の低下と取引先離れ
人手が足りないと、当然ながら納期の遅延や配送ミスの増加が起こります。
たとえ一時的なものでも、取引先や荷主企業の信頼を失うリスクは極めて大きいです。
特にBtoBの運送事業では、「時間通りに届く」こと自体が信頼の証。
一度でも遅配が続けば、契約解除や委託先変更といった事態に発展しかねません。
さらに近年では、配送品質を重視する企業が「配送評価」を取引条件に組み込む例も増えています。
現場の逼迫が長引けば、企業ブランドの毀損や営業機会の損失にまで影響します。
3.売上減少・利益圧迫につながる構造的な問題
人手不足を放置すると、単に人件費が上がるだけでは済みません。
ドライバー数の減少によって受注件数が制限され、売上が頭打ちになるケースが増えています。
さらに、残った人材に割増賃金を支払ったり、外部委託を増やしたりすることで、利益率が圧迫される傾向にあります。
とくに2024年以降は労働時間の上限が厳格化され、1人のドライバーが走れる距離・時間が短縮されました。
以前なら1人で完結できた東京〜大阪間の長距離輸送が、今では2人体制でなければ不可能という事例もあります。
このように、業務量が変わらないまま輸送効率が下がれば、「受注を断らざるを得ない」経営状況に追い込まれる危険があります。
4.安全面のリスクと社会的信用の失墜
ドライバー不足が進むと、経験の浅い人材への依存や無理な勤務シフトが発生しやすくなります。
その結果、交通事故や貨物破損などのトラブルが増加します。
安全管理体制が不十分なまま事故を起こせば、法的責任や保険対応に追われるだけでなく、ニュースなどで報道されるリスクも。
一度でも「事故を起こした会社」という印象がつけば、採用活動や取引にも悪影響を及ぼします。
物流業は“信頼で成り立つ産業”です。
安全面を犠牲にした運営は、長期的には必ず経営リスクとなって跳ね返ってきます。
5.組織の老朽化と事業継続リスク
運送業界では、ドライバーの約75%が40代以上というデータがあります。
ベテラン社員が退職時期を迎える今、人手不足を放置することは、次世代への技術・ノウハウ継承の断絶を意味します。
さらに、若手採用が進まないまま高齢層に依存し続ければ、数年後には事業継続そのものが難しくなるリスクも現実的です。
このように、人手不足は単なる「人員の欠如」ではなく、会社の未来を揺るがす構造的課題なのです。
6.放置せず、早期に「仕組み化」へ踏み出すべき理由
人手不足を根性や努力で乗り切る時代は、もう終わりました。
今、求められているのは「人がいなくても回る仕組み」づくりです。
たとえば、
- 配車システムの導入による効率化
- 短時間・スポット便など多様な働き方の導入
- 軽貨物配送などの外部委託の活用
こうした取り組みを早期に始めることで、現場の負担を減らし、採用のハードルを下げることができます。
また、外部委託を戦略的に取り入れれば、繁忙期や人員変動にも柔軟に対応可能です。
まとめ:人手不足の放置は“緩やかな倒産”の始まり
人手不足は、時間が経つほど悪化します。
「まだなんとかなる」と後回しにするうちに、従業員が疲弊し、顧客が離れ、利益が減り、やがて会社の屋台骨を揺るがす──それが今、多くの運送業者に迫っている現実です。
次回の記事では、軽貨物便を導入することで人手不足をどのように乗り越えるのか紹介していきます。
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